ワタシ、虫が全然ダメなんです。大きさ関係なく。
彼らも我らと同じ、生物。尊い、命を持っていることは知っているのです。
が、しかし。頭で理解していても、体が拒絶反応を示してしまいます。
東京へ引っ越しする話をするとたいてい、Gの話をされます。
ジャイアンツ、じゃありません。
そのたびに「ホントですか~!?」なんて言って、気にしていない風を装いながら、実は大変な恐怖を感じているのでした。
そして、ネットではGに対する予防策、遭遇しないための作戦、現れたときの対処法など、様々に検索をしました。
もちろん、住む家にそもそも居なければ、心配もいらないとタカをくくっていた手前、物件を探しているときに不動産屋(仲介)にGの有無を確認していました。
ワタシ「ここ5階ですし、小綺麗な感じで、Gいませんよね?」
不動産屋(仲介)「はい、1階は飲食店でもないですし、5階なのでいませんよ(キッパリ」
そして、鍵を管理している不動産屋(鍵管理)に、
ワタシ「あそこはGいませんか?」
不動産屋(鍵管理)「転居した方からも、GやNの話は聞いたことがありませんよ(きっぱり)」
ワタシ(心の声)「Nって、さらっと言ってるけど、ドラえもんも卒倒するあれだぜ。そんなものも東京にはいるのか。。。orz」
不動産屋(鍵管理)より鍵を預かり、いよいよ入室です。
この時点では、まだ荷物もなく、クロスも床も新しく、いい感じです。
小さな小さな、コグモも今となっては問題ではありませんので割愛します。
そして、待っていると、頼んでいた家財一式やアマゾンで注文した家電が続々到着します。到着の度に開封、とりあえず適当なところにおきます。
といったことを繰り返して、その日は終了となりました。
そして、翌日、朝食をとり、納豆や卵を食べたあと、それらを台所において会社へ出発したのでした。
(それが失敗でした)
夜も21時近くに家に到着です。
不慣れな手つきで家の鍵を開けます。
ドアを開けます。
まだ、排水溝から生臭い臭いがあがっているようです。臭い。
部屋の電気をつけます。
段ボールがあったり、まだ全然片づいていません。
部屋の真ん中までいきます。
大きな変化などは特に感じません。
そのとき、何となくシンクに目線を移すと。
いるじゃないか!
誰もが「いませんよ(きっぱり)」と断言してくれたGが。。。
人生初のご対面です。
一瞬、ドラえもんになれた気もしましたが、そんなことはさておき、全身警戒モードです。凍り付いています。腰は抜けませんでした。
部屋の明かりに、人の動きに、ワタシの熱視線を感じたのか、
納豆やら卵の殻、紙パックのジュースの周辺をカサカサ動いています。
ワタシは相変わらず、硬直していて、何もできません。
ドラクエの勇者たちの気持ちも少しわかった気がしました。
さて、ナントカしなければなりません。
いったいGはどこからきたのか?そして、どこへいくのか?
見届けないと、今晩眠れじゃないか!と思いつつ、状況は全然、膠着、好転する気配すらありません。
Gはシンク以外へいかなさそうでしたので、ここは22時に閉まってしまう、ドラッグストアで強力な武器を入手しよう!と、そろり、ソロリと家をでて、小走りでドラッグストアへ。
気にしていなかったものの、こんなに対策品があるのかと、びっくり。商品名も「●●ファイター」や「●●ジェット」など、オドロオドロシいキャッチーな名前が並びます。
いったい、どれが良いのだ?と、素朴な疑問が湧いてきます。
けれども、その間にもGは部屋を蠢き、援軍を呼び、ワタシの部屋を滅茶苦茶にしてしまうかもしれない。。。
商品を比較したり、ネットで評判を検索している時間はない!一刻一秒が大事なのです。
購入したのは「●●ファイター」。
ワタシは一人。ただのサラリーマンです。サラリーマンではGに勝てません。
そうです、「ファイター」=戦闘士にならないとGとの死闘は抜けきれないのでしょう。ワタシの直感と眠っていた闘争心が「●●ファイター」を手に取らせました。
ワタシ(心の声)「これで闘おう」
レジのお姉さんが商品を渡してくれるときには、これからの闘いに挑むワタシへの温かいエールを感じました(何も言われませんでしたけど)
武器を片手に、玄関を開ける間から商品は開封。
鍵をあけます。
電気をつけっぱなしの部屋の灯りが外へ漏れます。
ゆっくりと、ゆっくりとシンクへ近づきます。
納豆やら卵の殻は相変わらず、そのままです。
シンクの全景が徐々に目にはいってきます。
全てが目にはいります。
おや?
Gがいない。
どこへ?
部屋に本格的に進入か?
ゾワゾワ、イヤな汗が背中をゆっくりしたたります。
シンクの排水溝や冷蔵庫の背面や下をのぞき込んでいも、Gがいません。
どこへいったのか。
あちこち「●●ファイター」を発射しても、ガスのシュッ、シュッとしか音がなくGの影はまったくありません。
ようこそ東京へ!という、Gなりの歓待か?などと、変なことを考えながら、あちこちのぞき込むものの、見つからず。
とりあえず、シンクのなかのゴミを洗い、キレイにします。
目撃したGの特徴を検索すると間違いなくGでした。
翌日も現れることはなく、今に至っています。
毎日、シンク周りをキレイにしながら。